一時期、「事務次官」と呼ばれる官僚、いわゆるエリート公務員の不祥事が取り上げられました。
事務次官は、エリート中のエリートです。
この記事では、事務次官のなり方や収入などを中心にお伝えしていきます。
Contents 目次
事務次官とは?わかりやすく説明
まずは、事務次官とは一体どんな人物かをみていきましょう。
辞書的存在のWikipedia(ウィキペディア)には以下のように書かれています。
大臣、副大臣、大臣政務官の特別職の下にあって、各府省において職業公務員(官僚)が就く一般職の職員のうち最高の地位(ただし、防衛省の防衛事務次官は特別職)で、事務方の長といわれる。
(引用:ウィキペディア)
例えば、財務省の一番トップは財務大臣です。
財務大臣は選挙で選ばれた国会議員。
副大臣、大臣政務官も同様です。
しかし、事務次官は国家公務員として採用された人物が務めているのです。
引用部分にある「事務方の長(トップ)」というのは、財務省なら財務省で働く職員の中で一番上の役職となるわけですね。
ですから、事務次官になれるのは幾多にもいる国家公務員の中のほんのわずかしかいないわけです。
各省庁(財務省や外務省など)に1人しかいないわけですから。
ちなみに、現在過去含め、事務次官の一覧もありました。参考までに載せておきますね。
事務次官になるにはどうすればいいの?誰かが決めるの?
事務次官は国家公務員。
さらに、ごく一部の人物に限られるわけです。
そうなると、事務次官になるにはどのようなステップがあるのか、誰かに任命されるのか。
そんな事も気になります。
そこで、国家公務員になるためのステップから紹介します。
国家公務員採用試験に合格からスタート
まず、国家公務員になるには採用試験に合格しなければいけません。
一口で国家公務員といっても総合職、一般職、専門職があります。
その違いは以下のようになります。
- 総合職…将来の幹部候補の職員。いわゆる、キャリア官僚。政策の企画や立案など高度な知識やスキルが必要とされる。
- 一般職…企画立案された政策を実際に運用していく。
- 専門職…国税専務官、労働基準監督官など特定の官庁で特定の仕事をする。
今回の話題にしている事務次官になるには、国家公務員の総合職試験で合格することが第一ステップです。
とは言っても試験の競争倍率は非常に高く、毎年17倍、20倍となっています。
官庁訪問で勤務先を決定
国家公務員の場合、試験に合格してもそれで終わりではありません。
その後、働きたい官公庁に訪問し自己PRをする場をもらわないといけません。
面接後に合格となれば、晴れて国家公務員として希望する官公庁で働けるのです。
出世競争に打ち勝つ
事務次官になるには、同じ省庁で働く総合職の同期との出世競争に勝たなくてはいけません。
40歳くらいになると同期との差がついてくるようですね。
そこまでの昇級はさほど差がないとのこと。
昇級は財務省であれば本省係長、本省課長補佐、本省課長、本省筆頭課長、地方財務局長、審議官、本省財務局長、事務次官の順に歩んでいきます。
ちょうど40歳を超えたあたりに、課長になれる年齢に差し掛かるのです。
また、課長といっても省庁によって、花形の部署の課長になればその後の昇級にもいい影響を与えます。
財務省の花形(主要)部署は、主計局と言われています。
予算の編成に関わるために重要な部署です。
そして、本省局長まで出世できれば立派とも言われます。
また、財務省を例に出しますが同期の総合職は約30人くらいです。
本省局長に残れるのは3割くらいのようで、10人足らずに絞られるわけです。
そのなかで花形の主計局局長になれば、事務次官のポストがほぼ手に入ると言われています。
一時期話題となった福田淳一財務省事務次官も主計局の局長を経て、2017年5月から事務次官を務めています。
出世コースをわかりやすくするために福田さんの経歴を引用しますね。
2004年財務省主計局主計官(厚生労働係担当)。
2006年財務省主計局法規課長。
2008年財務省大臣官房総合政策課長。
2009年財務省大臣官房参事官。
2011年財務省主計局次長。
2014年財務省大臣官房長。
2015年財務省主計局長。
2017年7月5日財務事務次官。
(引用:ウィキペディア)
福田さんの経歴をみると、主計局での役職をずっと経験しているようですね。
事務次官になる見本コースとも思えます。
このように、うまく出世していくには失敗しないことが一番大事と言われています。
それから、事務次官は大臣が任命します。
ただ、一般論であって内部的にはいろんな諸事情や人間関係はありそうですね。
任期や退職はあるの?
エリート官僚との熾烈(しれつ)な出世レースを勝ち上がり、晴れて事務次官になっても務める期間は短いようです。
正式な定めはないものの、慣例で1年か2年。
その時期になったら自ら退職をして後輩にその椅子を譲ることになります。
だいたいその頃には60歳に届くくらいの年齢ですから、一般的な定年退職と同じくらいのペースです。
ちなみに、事務次官への出世レースで破れた官僚たちは早期に退職し、関係機関に天下りをするのは有名な話ですね。
給料やボーナス・待遇はどうなっている?
国家公務員でも一部の人物しかなれない事務次官ですから、収入面も気になりますね。
年収でいうと2000万円とも3000万円とも言われています。
国会議員並みの年収です。
総合職で採用されエリート官僚ならば、課長クラスになると年収が1000万円に達するようです。
若い頃は寝る間も惜しんで仕事に明け暮れ、経験と結果を残す日々が続きます。
その努力が実れば将来的に大きな収入に繋がるわけですね。
そして、事務次官で退職すると退職金は7500万円ほど。
税金が引かれても6500万円くらいで、お金に苦労する老後にはならないでしょうね。
国家公務員総合職合格者の出身大学は?
興味の範囲ですが、事務次官になれる総合職の試験に合格した人々の出身大学に関して探してみました。
◆平成29年度(2017年度)国家公務員採用総合職試験・出身大学別合格者数(上位10位)
1位「東京大学」372人
2位「京都大学」182人
3位「早稲田大学」123人
4位「大阪大学」83人
5位「北海道大学」82人
6位「慶應義塾大学」79人
7位「東北大学」72人
8位「九州大学」67人
9位「中央大学」51人
10位「一橋大学」49人
(引用:リセマム)
予想通りの結果と言えばそうですね。
日本の最高学府、東京大学出身者が一番多い結果。
続いて、京都大学、早稲田大学なども納得の結果です。
エリート官僚、先々の事務次官を目指すならば、国立大学、なおかつ、合格実績のある大学に進学するのも重要なポイントでしょう。
なお、事務次官や官僚について、ドラマでも学ぶことができます。
2009年7月から9月までフジテレビ系で放送された「官僚たちの夏」では、事務次官が何回か変わったり政治家と官僚の関わりなどがわかります。
参考までに紹介しておきます。
事務次官と大臣政務官・副大臣の違いは?
色々と事務次官について書いてきましたが、先にも少し触れた「大臣政務官」との違いが分かりにくいと感じました。
簡潔にいえば、どんな身分の人物かになります。
大臣政務官や副大臣は国会議員から選ばれている。
事務次官は国家公務員。
それから、各省庁は大臣をトップにし、副大臣、大臣政務官がいます。
その3者(政務三役)の下に事務次官がいる上下関係です。
とは言っても、実際の政策は官僚(総合職の国家公務員)が考え、実行しているとは有名な話です。
国会答弁でも大臣の後ろには見知らぬ人物が控えて、大臣が答弁する前に耳打ちしているのは官僚さん。
答弁書をつくるのも官僚の役割なので。
ですから、上下関係以上に事務次官や官僚は重要な人物なのです。
ちなみに、副大臣は大臣と同様、政策全体に関係し国会で答弁をする場面もあります。
しかし、大臣政務官は一部の政策に関わり大臣をサポートするくらいにとどまるようです。
事務次官になれるのはごく一部の国家公務員だった
事務次官の地位まで登りつめるのは限られた人物です。
早くから目標にしていないと、到底たどり着けない地位でしょう。
本当に優秀な人物なのです。
日本の発展のために力を発揮することを、期待します。
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